不定詞
不定詞とは
「to + 動詞の原形」の形になっているものを不定詞といいます(toが無いときもある)。 動詞は原形ですので「s」や「ing」などをつけないようにしましょう。
文法的には、動詞(動作を表す言葉)だったものを名詞(物の名前)や形容詞(名詞を修飾する言葉)や副詞(名詞以外を修飾する言葉)のように変化させる用法ですが、 はじめは難しく考えずに使ってしまって問題ありません。基本をしっかり身につけてから難しいことを覚えていきましょう。
不定詞の用法は大きく分けて3種類あります。名詞的用法、副詞的用法、形容詞的用法です。 なにやら難しい言葉が並びましたが、喋ることに焦点を当てるならば、この言葉を覚える必要はありません。
不定詞の名詞的用法
不定詞の名詞的用法は「~すること」と表現したい時に使います。「名詞的用法」という言葉を覚えるよりは、「~すること」を覚えておいたほうがズムーズに話せます。
日本語では「~すること」を「~するの」と言い換えることもあります。「英語を話すことは簡単だ。」と「英語を話すのは簡単だ。」は、同じ意味ですね。
日本語もいろいろと例外があるので、かならずしも「~すること」に全て当てはまるわけではありませんが、少し練習すればある程度感覚がつかめると思います。
例外の代表格は「want to ~(~したい)」です。 「want to」は不定詞として覚えるよりも、「want to ~」=「~したい」単体で覚えてしまったほうが良いと思います。
「to + 動詞の原形」を使って、「~すること」という英語にします。 話すときは、とりあえず「~は、~する」まで言ってしまいましょう。続く言葉は話しながら考えます。
聖司(せいじ)はヴィオリンを作ることが好きです。
Seiji likes to make violins.
ヴィオリンを「弾くこと」でも「聞くこと」でもなく、「作ること」が好きだと表現できます。
君は神になるつもりかい?
Are you trying to become a god?
try → やってみる、試みる
become → ~になる
god → 神
「try to become」は、直訳すると「~になることを試みる。」ですが、これではあまりに大袈裟なので「~になろうとする。」という日本語になることが多いです。
よく使う表現なので、「try to ~」で「~しようとする」と覚えてしまってよいと思います。
また、「to become」は「to be」と言っても大丈夫です。
スティーヴンは突然ペラペラの関西弁を話し始めました。
Steven suddenly started to speak the Kansai dialect fluently.
Steven → スティーヴン
suddenly → 突然
the Kansai dialect → 関西弁
fluently → 流暢に
「started to speak」は、直訳すると「話すことを始めた。」ですが、日本語では「~し始めた。」と言ってしまうことが多いです。
生きることは愛することである。
To live is to love.
主語(「~は」の部分)などでも、「~すること」と言いたいときは「to + 動詞の原形」で表現することができます。
君はあの時、何がしたかったんだい。
私はまどかを救いたかった。
What did you want to do at that time?
I wanted to save Madoka.
at that time → その時、あの時
不定詞の名詞的用法であるということよりも、「want to ~」で「~したい」という意味だと覚えてしまったほうが良いです。
「~すること」を含む例文を自分で作って、「to + 動詞の原形」を使って英語にしてみましょう。
不定詞の副詞的用法
不定詞の副詞的用法は「~するために」や、「~して」と表現したい時に使います。
副詞のはたらきをするので、名詞以外の品詞を修飾するのですが、細かいことは後々覚えるとして、まずは「~するために」「~して」と表現したいときに使えるものだと覚えてしまいましょう。
日本語もいろいろと例外があるので、必ずしもすべてが「~するために」「~して」となるわけではありませんが、例外が出てきたらその都度覚えるのが早いでしょう。
「to + 動詞の原形」を使って、「~するために」や、「~して」という英語にします。 話すときは、とりあえず「~は、~する」まで言ってしまいましょう。続く言葉は話しながら考えます。
カツオは野球をするために空き地に行きました。
Katsuo went to the sandlot to play baseball.
sandlot → 空き地
おーい磯野ー、野球しようぜ!
なぜあなた達は刀を持っているのですか。
吉良の家に討ち入りするためです。
Why are you wearing swords?
To make a raid on Kira's house?
wear → 身につける
make a raid on ~ → ~を急襲する
「Why ~?」の疑問文には「Because ~.」で返さなければならないと思っている人がいますが、そのような決まりはありません。自由に答えてください。
ただ、よく使う表現として「Because ~」と、この不定詞の副詞的用法を使った答え方があると知っておくと、実際に質問されたときに焦らず答えられると思います。
メロスはその知らせを聞いて激怒した。
Melos got enraged to hear the news.
get enraged → 激怒する
「~して」の表現の方は、日本語ががそのまま「~して」になることが少ないようです。日本語の動詞の活用の性質上、「聞いて」や「食べて」や「見て」のような形になります。
サツキはその大きな動物に会えて嬉しかった。
Satsuki was glad to see the big animal.
「~して」の表現は、「~できて」のようなニュアンスを含めることができます。日本語では今回の例文のような「会えて」や「来られて」や「話せて」のような形になります。
あなたといられて、私はとても幸せです。
I'm very happy to be with you.
be → be動詞(am, is, are)の原形
「to + be動詞の原形」で「to be」になります。非常によく使う表現です。
こういった場合の「be」は、「いる」「ある」「なる」という意味だと覚えておくと便利です。
「~するために」、「~して」を含む例文を自分で作って、「to + 動詞の原形」を使って英語にしてみましょう。
不定詞の形容詞的用法
不定詞の形容詞的用法は「~するための」や、「~すべき」と表現したい時に使います。
形容詞的用法は、他の2つ「名詞的用法」「副詞的用法」よりも使い所に悩むかもしれません。
原因は、直訳しにくいことにあります。
「~すべき」に関しては、ほとんどの場合、そのまま直訳で英文にすることができます。一方、「~するための」は直訳で英語にすることがとてもむずかしいです。
はじめは、「こういう表現をしたいときに使える」というように、個別に覚えるのが良さそうです。
「to + 動詞の原形」を使って、「~するための」や、「~すべき」という英語にします。 話すときは、とりあえず「~は、~する」まで言ってしまいましょう。続く言葉は話しながら考えます。
私にはやるべきことがたくさんあります。
I have a lot of things to do.
a lot of ~ → たくさんの~
thing → もの、こと
「~すべき」は直訳で使えます。使いやすいのでどんどん使いましょう。
何か温かい飲み物はいかがですか。
温かいテキーラをください。
Would you like something hot to drink?
Yes. I would like hot tequila.
Would you like ~? → ~はいかがですか。
I would like ~. → ~をください。
「飲むための温かい何か」ということで「something hot to drink」という表現になります。ただ、日本語で「飲むための温かい何か」なんていう表現はしません。「何か温かい飲み物」と言ってしまいます。
このように「~するための」の表現は、直訳できないことが多いです。そのため、場面ごとに個別に使い方を覚えたほうが使いやすいです。
特に今回の例文のように「something」「someone」「somewhere」などの、「some~」を含む表現はよく使われます。同様にして「anything」「anyone」「anywhere」などの「any~」や、「nothing」「no one」「nowhere」などの「no~」系でも使われます。
何か一つ例文を覚えてしまい、それを応用させて使うのが良いでしょう。例えば、今回の例文の「何か温かい飲み物」を「something hot to drink」と覚えてしまい、「何か冷たい食べ物」と言いたいときは「something cold to eat」に変形したり、「誰か私を助けてくれる人」と言いたいときは「someone to help me」と変形すると使いやすいです。
なお、「I would like」は「I'd like」と短縮させることもできます。
君以外に、私を手伝ってくれる人など一人もいませんでした。
There was nobody else to help me but you.
there is ~ → ~がいる
else → 他に
例文12の「something hot to drink」を変形して「nobody else to help me」にしました。「誰も他に私を手伝ってくれる人(はいない)」という意味ですね。
掃除機は部屋を掃除するための道具です。
A vacuum cleaner is the tool to clean the room.
そのまま「~するための」を表現することもできます。
私には英語を教えてくれる良い先生が必要です。
I need a good teacher to teach me English.
もう「~するための」や「~すべき」の原型も留めてないですよね。話しているときは「teacher」と言ったあとに、「もうちょっとどんな先生か説明する必要があるかな」と思って、「teacherっていう名詞を詳しくするから不定詞の形容詞的用法で説明するかなー。」って考えてます。
当然、英語を話しているときにこんなにたくさんのことを考えてはいられないので、条件反射的に思いつくように練習しておく必要はあります。
「~するための」、「~すべき」を含む例文を自分で作って、「to + 動詞の原形」を使って英語にしてみましょう。
疑問詞 + to不定詞
「疑問詞 + to + 動詞の原形」で「(疑問詞の意味)~すればよいか」という意味になります。
例えば、「what」は「何」という意味なので、「what to ~」で「何を~すればよいか」という意味になります。疑問詞の部分を変えるといろいろな表現ができて便利です。
「疑問詞 + to」を使って、「(疑問詞の意味)~すればよいか」という英語にします。 話すときは、とりあえず「~は、~する」まで言ってしまいましょう。続く言葉は話しながら考えます。
次に何をすればよいのか、私に教えてくださいませんか。
車の窓から手を出して、中指を立ててください。
Will you tell me what to do next?
Stick your arm out of the car window, and give the middle finger.
Will you ~? → ~してもらえませんか。
stick → 突き出す
out of ~ → ~の外に
middle finger → 中指
「what」が「何を」という意味なので、「what to do」で「何をすればよいか」という意味になります。
ちなみに「中指を立てる」は、スラングで「flip the bird」と表現することもできます。また、「give the finger」のように、わざわざ「middle」をつけなくても通じます。
その石のおかげで、ムスカはどちらへ行けばよいのかわかりました。
Thanks to the stone, Musuka knew which way to go.
thanks to ~ → ~のおかげで
way → 道
「which way」が「どの道」という意味なので、「which way to go」で「どの道を行けばよいか」という意味になります。
私には誰を信じたらよいのかわかりません。
I don't know who to believe.
「who」が「誰を」という意味なので、「who to believe」で「だれを信じればよいのか」という意味になります。
何色を使おうかなって思ってます。
I'm wondering what color to use.
wonder → 疑問に思う
「what color]が「何色」という意味なので、「what color to use」で「何色を使えばよいか」という意味になります。
私にこの石の使い方を教えてください。
ただ魔法の呪文を言うだけです。
Please tell me how to use this stone.
Just say the magic spell.
spell → 呪文
「how」が「どのように」という意味なので、「how to use」で「どのように使えばよいのか」という意味になります。
日本語では「どのように使えばよいのか」よりは「使い方」ということが多いので、「how to ~」で「~のやりかた」と覚えてしまうと便利です。日本語の「ハウトゥー動画」や「ハウツー本」という表現はここから来ています。
「〇〇~すればよいのか」を含む例文を自分で作って、「疑問詞 + to不定詞」を使って英語にしてみましょう。
その他の不定詞
不定詞の基本的な部分を説明してきましたが、実は不定詞には細かい用法や使い方がたくさんあります。ただ、いきなり細かいことまで気にしてしまうと大変だと思います。まずは基本部分をしっかり使いこなせるように練習してください。大丈夫です。多少細かい文法が間違っていても、問題なく通じます。
まずは通じる英語をたくさん話し、基本部分は頭を使わなくてもある程度自然と使えるようになるまで慣れてきたら、細かい部分を勉強していきましょう。
今回説明した他によく使う不定詞の表現としては、「It is ~ to ….」や「使役」といったものがあります。これらに関しては、「不定詞」としてとらえるより、「It is ~ to ….」や「使役」として頭を整理したほうが使いやすいと思います。また別の機会に解説します。
次は動名詞のお話です。